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Pottermore:エディ・レッドメイン インタビュー

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「入って」とエディ・レッドメインは言った。彼はトレーラーの入り口に立っていた。トラックスーツのズボンにUGGのブーツ、チャコールのガウン姿だ。彼は部屋を横切り、ふっくらしたアームチェアに腰を下ろした。
「僕が本物のハリー・ポッターファンだとわかったら喜んでもらえると思う」と悪戯っぽい笑みを浮かべて彼は言う。「あの映画シリーズの話や現場は家族みたいだってことをよく聞いてたよ。ずっとちょっぴり妬いてた、正直言うとね」
おそらく、だからこそ、ニュート役を獲得した時、エディはJ.K.ローリングとキャラクターについて話す一時間を設けて欲しいと頼んだのだろう。
「雑談はしなかったんだ。『よし、ニュートについて教えてください』とだけ言った。彼のバックグラウンドや家族についてたくさん質問があった。J.K.ローリングの構想、彼女がニュートの周りの世界をどう想像したかについてね。彼女のすべてのキャラクターと同じように、ニュートも彼女の心の中のどこかからやってきた。彼は彼女にとって何か意味があるんだ」
「僕はスティーブン・ホーキングやリリー・エルベのように、彼らを知る手がかりになる経歴の存在する実在の人物を演じて、役についての猛烈なリサーチをしてきた。でもニュートはもちろんフィクションのキャラクターだ。ジョーが僕の研究内容になったんだ、実際ね」
エディが役のためにしたリサーチはその熱烈なJ.K.ローリングとの対話にとどまらなかった。デビッド・イェーツ監督はエディになんでも必要だと思う勉強をする時間を与えたため、彼は多くの時間を動物と過ごしたり自然の中で過ごし、ニュートの頭の中へ入りこもうと試みた。
「僕が採った主なルートの一つはニュートの動き方を見つけることだった」とエディは言う。「トラッキングの一日講座に行ってとある男性に野生の生活の仕方を見せてもらったんだ。周辺視野を通した見え方や手に吐いた唾と合わせて薬として使える植物の違いだとか、素晴らしいことをいくつか学んだ」
「それにこんなやり方もね。動物を追っているとして……」エディは椅子から立ち上がり、まるでこっそり森の中を進むかのように注意深く忍び足で二、三歩トレーラー内を移動した。「……完全に物音を立てないようにするために、片足に体重をかけてからもう片足をある程度持ち上げるんだ。つまり地面に接しておいて小枝を踏まないように。こうやってとても慎重に歩くんだ」デモンストレーションを続けながら彼は言う。
「そのトレーナーの歩き方はオープンで、『わぁ、これを一部取り入れよう、ニュートの動きにこの開けた外股のやり方を使おう』と思わされた。ニュートの歩き方に多少取り入れたよ。コリーン(・アトウッド)は彼のトラウザーを彼にとって、そして僕にとって短すぎるくらいに作って、コートの上の部分もタイトだった。彼にはとてもコンパクトな部分があるんだ。ニュートはコンパクトな人物だというのが彼の動き方を見つけるヒントになった」
エディは動物トラッキング技術の実演に満足し腰を下ろした。けれどニュート役の大部分は彼のトランクの中に住む動物たちとの関わり合いだ。人間と動物がどのように関わっているのかも学ぶ必要があった。そのため、彼はケントの動物園でひとときを過ごした。
「とある赤ちゃんアリクイに会って」彼は微笑む。「生まれたての子で、丸くなろうとするんだ。飼育員がお腹をくすぐったらキーキーいってた」
エディはくすぐられて身体を広げるアリクイの様子を巧みに再現して続ける。「作中でニフラーをつかまえると彼はおなかの袋を押さえにいくんだ。僕には彼をくすぐってあのアリクイみたいに腕を広げさせてお宝を出させるっていうアイデアがあった」

デヴィット・イェーツはニュートと彼のすべての動物たちとの関係はリアルなものだと主張した。動物たちは当然ポストプロダクションの間にCGIで姿を与えられたという事実にもかかわらずだ。エディは彼の会った動物飼育員たちから着想を得たのち、場面において彼がどう動くかというセンスメモリー*1や目線を身につけるためにダンサーや人形遣いたちを相手役にした。
「人間の関係とは違うニュートとそれぞれの動物との関係を導き出すことが重要だった」と彼は言う。「たとえば飼育員たちが出す音を聞いたよ。動物の鳴き声と同じ音である必要はないんだけど、その動物が反応するであろう音なんだ」
「たとえばあるパークのサイ。彼女の担当の女性が怒ったサイの臀部や膝の内側をこすって落ち着かせようとしてたんだ。『何をしてるんですか?』と尋ねたよ。彼女は膝のあたりの分厚い皮膚をこすってやってとうとう地面に座らせてた。奇妙だったけどなんだか素敵だったよ。動物の個性はとても面白かった」
 J.K. Rowlingに質問したり感情的なサイを眺めたり可愛らしいアリクイに会ったり森の中で動物を追う事を学ぶのとは別に、エディにはもちろん彼のキャラクターを形作るためにファンタスティック・ビーストの脚本があった。
「書いてあることからできるだけ多くのものを見つけることから始めるんだ」とエディは言う。「ニュートは一年間フィールドで過ごしたことはわかってるから、それがどんな年だったのか考え出そうとするんだ。彼がシャツを脱ぐシーンで肌が傷痕だらけなことがわかるから、それらが何なのか考え出そうとする。この小さな傷跡はね」エディは手首に並んだ小さな線に触れながら話す。「ニフラーとの戦いでできた爪痕なんだ。戦傷のようなものだよ。それぞれの傷にちょっとした歴史を与えようとするんだ」
撮影期間の数か月の間にエディがニュートに夢中になったことは明らかだ。彼のキャラクターを敬愛し我々もそうなるように願っているということも。そこで彼は現場に呼び戻され、ニュート・スキャマンダーになりに帰って行った。

*1:五感の記憶