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『ガーディアンズ・インフェルノ』MV裏話

ジェームズ・ガン監督のFacebookより。

ガーディアン・インフェルノのMVはこちらから見られます(マーベル公式)。

youtu.be

 

 きみたちの多くから、どのように/どうして『ガーディアンズインフェルノ』のビデオができたのかと聞かれている。きみたちの多くが知ってのとおり、我らが作曲家のタイラー・ベイツと僕が書いたこの歌に最も影響を及ぼしたのは、1977年のビルボードで一位を獲得したミーコのディスコ風スター・ウォーズのテーマだ。スター・ウォーズ映画に直接関わりはなかったけれど、僕の中では映画の面白さと切っても切り離せなかった――子供の頃ドーナツ盤を持っていて繰り返し聞いたものだ。

 加えてイギリスの『トップ・オブ・ザ・ポップス』におけるこの曲の突飛な"パフォーマンス"がYouTubeにあって、友人たちと僕はこれについて冗談を言うのが大好きだ。同じく70年代後半の作品で、出ているのは奇妙なエイリアンの衣装を着たみんなと、フラッパーズと、外見がちぐはぐなカウボーイとカウガールと……投げ縄パフォーマンス。そう、スター・ウォーズのビデオで投げ縄パフォーマンスだ。ほら、かの有名な、あー、C3POがチューイを投げ縄で捕えるシーンから来てる……とかなんとか。(ガーディアンズインフェルノでのショーン・ガンのカウボーイとマイケル・ルーカーのライオンはこれを意識したものだ。)

 二年以上前、Vol.2の撮影以前に、ガーディアンズの製作総指揮のジョナサン・シュワルツと製作のケヴィン・ファイギと僕はこの動画を回覧してメールで冗談を言い合っていた(ケヴィンが一番多く絵文字を使う)。僕はVol.2でこういうスタイルのガーディアンズのテーマソングとビデオを作りたいと話した。二人ともその展望にエキサイトしていた。

 だけどその後色々とあった。とにかく僕には作るべき映画があった――描くべきストーリーボード、キャスティングすべき生ける惑星、作るべきロボットの売春宿が(今思うとVol.2はあの『トップ・オブ・ザ・ポップス』の映像への究極のトリビュートなのかも)。

 そしてもちろん、僕らはスコアに取り組む必要があった――なぜならこれまでもよく書いてきたとおり、タイラー・ベイツは撮影前に脚本へ寄せて曲を書き、僕らは撮影現場で曲へ寄せて映画の撮影をするからだ。なので僕らはふたりともディスコ版ガーディアンズのテーマといったくだらないものに割く時間がなかった。

 実を言うとアイデアは僕の中で膨らんでいた。撮影が開始すると僕はタイラー・ベイツにそのアイデアを語り続けた。そしてついに数年後、映画公開のほんの数か月前に、タイラーと僕――この段階で我らがバンドを”ザ・スニーパーズ”と呼んでいた――は、この歌に着手した。

 (しばらくこのFacebookページを読んでいるみんなにはスニーパーズというのがマーベル・コミックスに登場し僕がVol.2に出したかった異星人の種だとわかるだろう――マーベルの法務部からsneeperはアイスランド語クリトリスを意味するのでダメだという手紙を受け取るまでの話だ。だったら尚更のことこの名前を使いたいしアイスランド人へ敬意を表して使うと僕は彼らに伝えた。そして結局彼らは折れた――売れっ子監督になったからってどえらい厄介者から卒業する訳じゃないからね)

 とにかく、僕が車の後部座席で丁寧にiPhoneのメモ帳に書いた詞の乗ったこの歌のデモを僕らは録り終えた。だけど我々には歌手が必要で、この歌を真に歌いこなせる人物は一人しかいないと僕は知っていた。

 デヴィッド・ハッセルホフと僕がVol.2で一緒に仕事をしたのは一日間だったが、すぐに親しくなった。彼はユニークで素晴らしく、ハッセルホフはこんな人だろうと想像する通りで、それ以上の人だ。ザ・ホフと僕はランチを共にし、そのアイデアを投げかけると彼は意気込んで了承してくれた。

 彼が了承したのは、それが基本的にラップであること、最初の数行にProcyon Lotor(アライグマの学名)やinfantilized sequoia(幼児化したセコイア)といったフレーズを含むことに気付く前だった。ザ・ホフに正しくリズムを外れて正しくinfantilizedと言ってもらうのは僕の経歴の中でもかなり難しいことだったとはいえ、ザ・ホフはレコーディングスタジオでそれをやりきってくれた。一方で僕とプロデューサーのサイモン・ハットとデヴィッド・ヤロヴェスキー(彼についてはもう少し待って)とでバックグラウンドで「ザードゥ・ハッセルフラウ」と繰り返すトラックをレコーディングした。

 レコーディングスタジオではその日、歌の最後のデヴィッド・ハッセルホフの台詞も僕のiPhoneで撮った――「辛いときにはこれを思い出すんだ。ウィー・アー・グルート」。僕はエディターのところへ車で直行し、Vol.2のエンドクレジットにこれを入れる時間はあるか尋ねた。辛うじて時間はあった。クレジットの最後の最後でそれを見ることができる。
“In these times of hardship, just remember: We. Are. Groot.”

 タイラーと僕は曲名をつけかねていた。僕は『2017年アカデミー賞楽曲賞受賞作』というタイトル案をとても気に入っていたけれど、マーベルの法務部は合法性をやや疑っていた(前述のように僕は厄介者だ)。だからサイモン・ハットが『ガーディアンズインフェルノ』というタイトルを口にしたときそれに乗った。

 そして有り難いことに、マーベルのホームビデオ部がこのビデオに資金提供してくれることになった。僕がガーディアンズVol.2のプレスツアーに出ている最中に制作する必要があり僕自身が監督を務める術はなかった。それでこういうことに関して信頼している一人の友人に頼んだ――偉大なミュージックビデオ監督であるデヴィッド・ヤロヴェスキーだ。サイモン・ハットと僕はプロデュースを。

 僕たちは驚異的な衣装の責任者であるオータム・スティードや振付を担当したリンジー・ブラウファーブとクレイグ・ホラマンを含むすばらしいチームを組んだ。

 実際の70年代のチューブカメラも借りてきた――『トップ・オブ・ザ・ポップス』の映像がそうして撮られたのと同じように――粗く本物らしい映像にするために。これが撮影で一番高くついた。ポストプロダクションでそういう加工をして経費削減するものだということはわかってる――VHS風の映像を使ったJames Gunn's PG Pornウェブシリーズで僕自身そうした――でもそれだと決して本物のようにはいかない。僕らはこのビデオを目にした人たちが最初本当に30年前の作品だと思うことを目指していた。

 元々このビデオはキャストに参加してもらうつもりはなかった。ダンサーたちとデヴィッド・ハッセルホフだけの予定だった。キャストはみんな忙しい人たちだ、僕のこれまでの仕事の中で一番イカれている作品への参加を望むわけがあるか? その後に、カレン・ギランとポム・クレメンティーフもキャストなんだったと思い出した。彼女らは定期的に、ガーディアンズのサントラの曲を歌っているカラオケ動画を午前3時に僕に送ってきた。参加を望むには充分すぎるほどイカれてる。声をかけるとカレンはこれは人生でずっと待ち続けていた瞬間だと答えた。ポムはただ興奮してキャーキャー言ってた。

 僕の知らないうちにサイモンがデイヴ・バウティスタバティスタ)と僕の弟のショーンにもビデオに出てくれるか尋ね、二人とも了承した。

 彼らが参加することで僕はルーカーも誘う必要があるなと思った。踊るルーカーはハイウェイの脇の自動車事故のようなもので、とにかく目が離せない。このビデオにそれを望まない人がいるか?

 それにもちろん、プロダクション・オフィスでは『カメオ』という単語を何度も使っていて、まるでキング・オブ・カメオの召喚だった。それで僕の友人でありヒーローであるスタン・リーに出演をお願いした。それと、Jimmy Kimmel ShowのギレルモのVol.2のカメオ出演がほとんど削除されたことを僕たちは惜しく感じていて、彼も起用した。

 知っておいてほしいのは出演者たちは誰もギャラをもらっていないということだ――全部遊びでやったんだ、彼らは最高だから。

 撮影は愉快だった。デイヴ・ヤロヴェスキー、振付師たち、ダンサーたち、美術スタッフたちは僕の期待を遥かに上回る仕事をしてくれた。ショーンのハドソンブラーズのウィッグからバウティスタの小さな天使のウィッグまで、みんなが楽しんでいた――あー、たぶんルーカーを除いて。彼はこれから着る衣装を見たときオータムが冗談を言ってると思ったらしい(まるで彼がトレイラーでポリエステルの全身ジャンプスーツだけを身につけてる姿を僕が何度も目撃したことなんてなかったかのように)。あと質問してきたみんなへ――イエス、あのドラマーは僕だ。

 その撮影の後僕は映画の宣伝でロンドンに飛び、その間にデイヴとVol.2の第一助監督であるアンドリュー・エイセンはビデオを編集し、PUNY社の僕の古い友人たちと共にVFXの作業を進めていた。

 ロンドン滞在中、キャストと夕食を共にして撮影の楽しさを振り返って笑っていたら、ゾーイとクリスが「あのー、なんで私たちを誘ってくれなかったの?」という反応をした。

 僕の顔は真顔の絵文字になった。

 正直に言って、ゾーイ・サルダナクリス・プラットは大スターで多忙だろうから誘ったら迷惑になると僕は思っていた。だけど実際はふたりとも、他のメンバーと同じくらいベルボトムや付け髭やリズム通りにキーボードを弾けないルーカーを愛する、完全なチームプレイヤーだった。それで国内に戻ってから僕らはゾーイのパートをLAで撮り、クリスのパートをロンドンのジュラシック・ワールド2の撮影現場から遠隔で撮った(手助けしてくれたJW2のクルーのみなさん、ありがとう)。

 こういう経緯だったわけだ。

 下記のリンクからビデオを再度チェックできる。コメント欄で感想を教えてね。

(以下省略)