koto-koto

備忘録や情報まとめのメモ。間違いがありましたらご指摘いただけるととてもとても有り難いです。

ここ一週間の感想文

いつか感覚が薄れて忘れ去ってしまわないうちに今の気持ちを書き残しておく。

2018年7月の第三週、生活の中で自分の今と将来にかかわる悩みの種が現れて、小心者の私は吐き気がするほど不安でストレスを覚えていた。
そんな折に大好きな監督が大好きな映画から追放された。
なにより先に「うわ、しんどい事って重なるんだな~」とシンプルに驚いたけど、重なっていなかったらこんなに冷静ではいられなかった。なにしろ私はジェームズ・ガンが大好きだから。オンタイムで見守っていた訳ではないけれど彼のファンになって活動を辿るうちに当然彼が過去に酷い発言を繰り返していたことは知ったし、当時は衝撃を受けたし、ブログの記事に関しては批判を受けたことも知っていたし、それに対して言い訳せずに謝罪したことも知っていた。ディズニーとの仕事でその悪癖(という表現が相応しいかはわからないけれど)を捨てることができて何よりも本人が救われていたことも、問題を抱えている人だからこそガーディアンズ・オブ・ギャラクシーという映画を作ることができた事実も知っていた。自分と同じ、周囲の人間を自ら遠ざけてしまう、社会や集団に溶け込めない孤独な誰かに向けてガーディアンズのキャラクターたちを作り、描き、メッセージを発信し続けてきたことも。
私は身内にレイプ被害者がいて、それをジョークにしようという思考回路は一生理解できないし(こと性的なジョークの感覚については彼は本当にどうかしている)、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2を観たときこの監督/脚本家とは絶対に相容れない部分があるなということも感じたけれど、それはジェームズ・ガンという人間を構成するうちの(私にとっての)最低な部分に過ぎない。すべてを容認できなくても好きなものは好きだ。ガン監督のことも、ガン監督の書くわかりやすくてテンポがよくてユーモアと愛情がたっぷり込められた文章も、ガーディアンズという作品も本当に大好きだ。
ガン監督がガーディアンズか売れて環境と収入がどれだけ変わってもエージェントもマネージャーも弁護士も自宅のクリーニングレディも十年以上同じ人を雇い繰り返し同じ俳優を起用するロイヤルな人で、もう何年もソーシャルメディアでのファンとの交流をとても大事にしてたくさんの時間を割いてくれて同じ質問に何度だって根気強く答えてくれる丁寧な人で、作品やキャラクターや俳優を守るためにスタジオと戦う強さを持っていて、仲間から愛されていて、そしてもちろん人並み優れたアーティストであることは周知の事実だった。
今回の焦点はジェームズ・ガンの人柄や資質ではない。それらが彼の言動への免罪符になることはない。でも大好きでい続ける理由としては充分すぎるくらいだ。誰がなんと言おうと、そして過去と未来になにがあっても、彼の美点が消え失せることはない。

だからたぶん、他の案件でどん底にいなかったら私はもっと取り乱していた。あらゆるものを費やして大事に大事に作ってきた、そして間違いなく彼自身を救ってきたガーディアンズ・オブ・ギャラクシージェームズ・ガンの手の中から取り上げられてしまう事実が私にとってあまりにも悲しく、そしてシンプルに彼の精神状態が心配でもあったから。

正直に言ってこれまで、有名人が非難の対象になった際にすぐ擁護するファンを見ていて「いやいやそれはないでしょ」とドン引きする立場にいることが多かったけれど、大好きな人の今後の活動を左右する局面で冷静になる余裕がないのはある意味当然だし、咄嗟に助けよう庇おうとするのも普通だよなと、今回のガン監督のファンの方々の反応を見て納得した。
経験から想像できることは限られていて、同じ立場になってみないとわからないことはあまりにもたくさんある。そして気をつけないとたぶんまた忘れてしまう。
客観的に見て「いやいややっぱりそれはないでしょ」と思うパターンは当然あるとしても、客観的に見られなくて当然であるファンが気づくまでに時間がかかっても仕方ない。それを批判されたってすぐに聞き入れられるべくもない。一度落ち着いてから考えた結果がその人の本当の意見だ。それにもし第一印象で「無理! 幻滅! 擁護しようがない!」と感じてしまったら、その人の中でその一件は『好きだった人が間違いを犯した』だけで終わってしまって、その後の情報や意見を積極的に知って正確な判断を期すことは難しいだろう。

私にはたまたま、急いで結論を出すことではないと感じる余地があり、数日間(色んなことを考え込んでいたためにこの数日が私には二、三週間の長さに感じた。21日に解雇を知ってからまだ一週間しか経っていないことが信じられない)本を読み映画を観てTwitterを眺めながら『ジェームズ・ガン監督の再雇用を求める署名に参加するか、しないか』を考えていた。過去のことを本人はとうに反省・謝罪している、ディズニーは慎重な検討を一切していない、裏にはどう見てもオルト・ライトの狙いがある、という事情を踏まえた上で、即刻の解雇が妥当だとは到底思えなかったけれど、ろくに自分の中の意見も固まらないまま「ガン監督の撮るVol.3が観たい! 続投のために署名しよう!」と言い出すのは半日で結論を出してしまったディズニーと同じくらい浅はかに思えた。
結論はここには書かない。今後その考えが変わることもあるかもしれない。なにしろ私は何事に関しても知識が浅く、ここ数日だけで色々なことを知ってどんどん物の見方が更新されていて、一週間後にはすべてが間違っていたと反省している可能性だってゼロじゃない。(なお、勉強のためにマイク・セルノビッチ氏をツイッターでフォローしてみたところ、TLがあまりに精神衛生上よろしくない事態になったので即刻解除した。)
ディズニーの対応がどうあれファンの思いが詰まった署名の存在がガン監督の心の支えになり今後のキャリアへの活力になればいいなと心から願う。少なくとも再雇用を求める署名が短期間で多く集まっていることは私の気持ちを救ったし、ガン監督やガーディアンズのファンの気持ちを楽にしていると思う。

留意しておきたいのは、ガン監督をサポートする宣言をすることは、そして仮にガン監督が再雇用されたとしても、それがペドフィリアやレイプや、あるいは誰かの攻撃的・差別的な発言を容認することを意味するものではないこと。
私はかつて大好きなアメリカ人俳優が日本の地震原発をネタにしたジョークを言うのを見て傷ついたり、大ヒット映画の滑稽な日本人描写を観て不快になったけれど、刺々しいユーモアから来るジョークを言うことと、既に批判を受けている攻撃的・差別的言動をあえて行なうことはどこかで区別されなければならないし、もしもどちらにも問題があり、我々が同等の怒りを抱いているとしても、同等の処罰を求めてはいけないと思う。
同時に、ガン監督の解雇を批判する時に「正しさを追求する社会の風潮」に疑問を呈することは危険なことだという認識を持ちたい。これまでマジョリティーの踏み台にされてきた人々の上からやっと足をどかそうとしている世界の動きを止めることになりかねない。

さて、生活に根を張る悩みの種については、昨日不安で仕方なかった要素の一つが時間を経て解消されたので、これから全部スッキリ終わりにできるように頑張る。ちょうどその件によって他人の行動の動機・背景を想像することやセカンドチャンスの重要性について深く思いを馳せていたところだった。おかげでガン監督の件について色々な側面から考える要因となったし、逆もまたしかりだ。
今のところ毎日思い出してしんどいけど、「なにもかもどうにかなるわ生きてるし」という思いもあるので、その波に乗りつつ生きる。