【UPROXX】ファンタスティック・ビースト
エディ・レッドメインインタビュー。
あなたに『博士と彼女のセオリー』の時にインタビューしたんです。あなたは親切でした。そう評判ですよ。
うわあ。嫌だね。没個性的な感じ。
ニュートはこの世界で私達が見慣れているような主人公とはまったく違いますよね。彼はとても風変わりです。
完璧にそうだと思う。今作の脚本を読んだ時僕が魅力的に感じたことの一つはヒーローものという感じがしなかったことなんだ。
彼はペットを探しているだけです。
そのとおり。とてもかわいい動物たちと一緒に過ごしたいだけなんだ――それに彼は明らかに人間と付き合うより動物たちと付き合う方が上手なんだ。この脚本のすごいところは、J.K.ローリングがそれにスリラーの要素を織り込んでダークな感じになっているところだよ。でも中には僕がハリー・ポッター映画で大好きだったような、ロマンスや愛情があるのと同様に一種のバディームービーの要素もある。なおかつ、おかしなことに脚本を読んだ時泣いている自分に気付いた――ダン(・フォグラー)のキャラクターがあの世界にやってきた時みたいにね。そして彼女が完全で完璧に感じられる中にそういったすべてのジャンルを一緒に織り込んでみせたという事実を飲みこみきれなかった。
時代物としてもハマっています。昔のニューヨークだとか…
すごいよね。脚本を受け取った時とキャスティングされた時、妻とニューヨークに行けると思って興奮したんだ。それから「ロンドンのすぐ外のワトフォードで撮影するよ」と言われて。
あらまあ。
でも彼らが造ったセットがすごかった。製作中は違う時代にいるように感じたよ。通行人がいるように見せるために同じエキストラがカメラの周りを何回も歩き回るのに慣れてたけど、今作では当時の服装をした何千人もの人々がいたから。それに映る範囲のニューヨークの街をきちんと造ったんだ。とても圧倒的だった。
契約した時、五部作になる事をご存知でしたか?
いいや。でも契約した時、3作品の契約だったかな? 把握しておくべきだよね。契約した時は4作品だったと思う。その後にジョーがファンイベントで告知して、みんなが五部作だと知った時に僕らも知ったんだ。でも実際は観客がこの映画を楽しんでくれた場合にだけ実現することなんだよ。一方で僕が気に入ったことがある。大規模なフランチャイズ映画では往々にして最初の作品は序章のようなものという意識がある。パイロット*1のような感じで消化不良になりうるんだ。脚本を読んだ時この映画で僕が気に入ったのは、過去に言及したり未来をなんとなく示唆しているにもかかわらず、一話で完結しているように思えたことなんだ。
それに、ハリー・ポッター映画で馴染んでいるような物事を見せていますが今作はまったく新しい物語です。びっくりしました。
よかった。感情的に満足する作品だと思うんだ。最後には補完のようなものがあって、希望があってクールだと思う。今後どうなるかだね。
ハリー・ポッターでドーナル・グリーソンが演じた役のオーディションを受けたと以前話していましたよね。今となっては受からなくてよかったのでは?
そうだね、今までで一番素晴らしい出来事になったよ。ウィーズリーをニュート役にすることはできないからね。意味がわからないしファンダムが混乱するよ。すぐにキャスティングされなくてとても幸運だと今は思ってる。でも大学生だった19歳の頃にオーディションを受けた時は、彼らはかなり広い範囲でトム・リドル役の俳優を探していて、第8アシスタントキャスティングディレクターみたいな人とオーディションした時、たぶん僕に舞台の経験しかなかったからだろうけど、台詞を3行言い終えたか言い終えないかで部屋を出るように言われたんだ。たぶん僕、声を張り上げてたんだと思う。カメラは2インチくらいの距離にあったんだ。僕は後ろの席まで届くような大声で台詞を言ってたんだろうね。
『ハリー・ポッターと呪いの子』に出ていた可能性もあったわけですね?
そう! あの舞台を観た?
今年の夏は仕事で2回ロンドンに行ったのですが、とてもチケットがとれませんでした。まるで『ハミルトン』ですよ。
世界における僕の役割ってハミルトンを見ることが許されない事のような気が徐々にしてきたんだよね。ロンドンに来る予定だしそれを待たないといけないと思うんだけど、つい挑戦しちゃう。
あなたはオスカー受賞者ですよ。コネがないなんて思えません。エディ・レッドメインがハミルトンを観たいならチケットを取れるはずですよ。
取れてないんだよ!
あなたで無理なら私たちに望みなんてないじゃないですか。
いや、正真正銘チケットが取れてないんだ。僕が人に話を聞いていいなと思うのは、僕が「よくある盛り上がってたのが呆気なくて悲しい終わりを迎えるやつ?」って聞くと「いやいやまさかまさか」って返ってくることなんだよね。すっごく期待が高まってる。待ちきれないよ。サウンドトラックは買った?
いえ、その場で体験したいので。人々に愛されていることは知っていますが…
僕もそれに仲間入りしたよ。
すべての歌が耳に入らないようにするのは無理ですしね。ではサウンドトラックを持ってるんですね?
うん。でも売り込み方の巧さも面白いよね。ほら、今どきは気に入ったものがあればYouTubeで関連のものが全部見られるでしょ。でもハミルトンではそれができないから。
私があなたのオーディションの話で好きなのはあなたが成功している俳優だという点です。それを読んであなたはいつ幸運を掴めるんだろうと気の毒がる事がないので。
そうだね(笑) 今作でもエピソードがあるよ。この映画にはオーディションなしでキャスティングされたんだけどね…
素晴らしいじゃないですか。
素晴らしいよね。でももしあなたが過敏な人間で、しかも読みあわせの後にクビになった人達の話なんかを聞いたことがあったら? そこで共演者のオーディションをするため、色々な組み合わせの四人で組んでみるために呼ばれたんだ。
そうですね。でもあなたはオスカー受賞者ですよ。「まあなんとかなるだろう」とはならない?
無理だよ。実際はこうだ。「よし、これが僕の考えるニュートだ」って思うんだけど、デビッド・イェーツ(監督)とデヴィッド・ハイマン(製作)が僕がニュートとして喋るのを聞いたり演技を見ることが初めてだというのはわかってた。だから理屈の上では、オーディションは受けなかったけどある意味常にオーディションされてるってことなんだ。彼らがもし「え、そんな感じ?」と言ったらワーナーブラザースにとっては重大な事だ。だからそれについてキャサリン・ウォーターストンと話し合ったよ。ニュートとしての初日、僕の解釈を見せた時はものすごく緊張してた――それにデビッド・イェーツとデヴィッド・ハイマンが「素晴らしいね!」と言ってくれるのをひっそり願ってた。で、何も言われなかったんだ。眠れずに翌朝現場に行ったよ、これは悲惨な事になるぞって考えながら。僕が問題だったんじゃなく、理論的には、他の俳優の事だったとしてもね。
デビッド・イェーツとデヴィッド・ハイマンにとってはあなたは固定で、心配する必要はなかったのでしょうね。
うん、まあ、理論上は。その後、現場に着いた時にデビッド・イェーツとデヴィッド・ハイマンがやってきて、「なあ、エド、昨日は興味深かったよ。きみはニュートを演じ始めたばかりだよね。つまり、きみはジムに行ったりしたことがあるよね、彼はもっと力強くもっとヒーローらしくならないといけない、そうじゃないか?」と言われたのを覚えてる。「そうだね、確かに!」って言ったよ。次の日のオーディションで僕は(胸を膨らませて低い声で)『俺はニュート・スキャマンダーだ。やあ!』って。
それでリハーサルを始めたほんの数か月後に、デビッド・イェーツが「オーディションを見返したんだけど内向的なニュートがよさそうだな」と。「あーよかった!」と思ったよ。どうやればいいのかさっぱりだったから! ジムに行ってスーパーマン・ニュートになろうと頑張ってたけど。でもそういうことがあったんだ。そんな感じ。
*1:ドラマの第一話